犬山の読書録

犬山です。心動かされたものについて記録します。

【感想】公務員、中田忍の悪徳7

 

次がラストと明示されているので色々大詰め。今回も良かった。

 

 


・JKが人々の中で成長し、大人にその若さと勇気から問う行動に出て、こんなに良い結果にならない話も珍しい。むしろ大人の輪を出て諦めることで、同年代の人間との関係が良くなるというのは、ラノベ的な作法としては違和感があるが、この作品の人間観や解像度の高さを踏まえると自然に感じられる。

そしてラストに環が背伸びせず今の自分自身で忍に向き合い、友達になろうとする流れはすごく良かった。

椿に小学生がいかに成人男性を落としたのかガチで聞いた内容は直接出てこないけど、アドバイス聞いた環がエロ下着とフェロモン香水になってるので、往時はマジでやばかったんやろな。事案。


・この巻では由奈がすごく振れ幅を見せてくれたと思う。

環は由奈と自分の差を大きく感じていて、結果として由奈の大人になれなさ、力の足りない部分を露呈させてしまう。壁を感じていたと思っていたけど本当はそんなものはなく、見せかけてただけ。でも彼女のそう見せかけたい気持ちとか全てをひっくるめて彼女らしさが感じられた。幸せになってほしい。そして楝蛙先生の大人向けコミカライズを1話でいいから読みたい。

 

・中田忍真実が明らかになってしまった。巨乳エルフとの同居を始めとしたラブコメ空間にピクリともしないことにしっかりした理由が書かれてしまった……
非正規公務員、丸山千尋の悪徳』を踏まえてこのくだりを読むと、何というか、本当に、味がある。これが彼の心の傷になっていて、彼も傷つきうる人間なのだなと思わされる。幸せになってほしい。