犬山の読書録

犬山です。心動かされたものについて記録します。

【感想】杉森くんを殺すには

杉森くんを殺すには | すべての商品 | | KUMON SHOP

児童書。めっちゃ良かった。
高1の女の子ミトさんが「杉森くん」を殺すことを決意するところから始まり、徐々にその経緯が明かされ、落ち着くべきところに落ち着く。
とはいってもその理由なり正体なりを明らかにすることが本作の目的ではない。(ミステリではない)
中盤で「杉森くん」はある理由から既に亡くなっていることが分かり、それを殺すというのがどういうことかとか、主人公がどこに落ち着くかという部分を追っていくことになる。これをオチにしてないのでスゲー!と思った。下読みのしすぎかもしれない。
文体が素朴ながら胸を打つものがあり、ミトさんの気持ちの動きがよく書けていた。また、彼女を取り巻く人々の距離感とか関わり方が本当に良くて愛を感じた。

あとがきは、作中のある出来事を中心に公認心理師がアドバイスをごちゃごちゃ書いてるのだけど、これは個人的には蛇足だった。パワーのある物語だから乗っかりたくなるのは分かるけど、この作品を道徳の教科書にしないでくれよ。

あまり思い出すとまた泣いちゃうのでこの辺で。完成度が高い、という表現をするにはあまりに生っぽいので違和感がありますが、良い作品です。