犬山の読書録

犬山です。心動かされたものについて記録します。

【感想】自傷・自殺する子どもたち

www.godo-shuppan.co.jp

松本先生の臨床経験から、自傷する子どもの心の様相や具体的な対策を書いておられる。
対応についても無理に抱え込むことを強要するわけでなく、医療関係者以外の家族や学校の人ができることが書いてあってよかった。あと、友達としての関わりを学ぶにも良いと思う。
子どもたちとあるけど、小学生から高校生くらいまでレンジがとってある印象だし、大人の自傷がある人の対応にも通じる部分がありそうだと思った。

この本が合うかどうかは、「おわりに」の部分を読んでしっくりくるかどうかで分かるかも。子どもの自殺リスクを高める最も大きな要因として「援助希求能力の乏しさ」が挙げられていて、この本らしいなと思った。ただ、援助希求能力の乏しさと、援助を求めにくい環境にいること、つらみの高まりはまるっとつながっているので難しいなとも思う。

 

この本の中で、自傷する子のサポートをする中で「距離をとれ」と言われた場合にスパッと拒絶することが距離を置くことじゃないという話がすごくよかった。一対一で関わるのをやめてチームで関わるということ。確かにそれなら距離というか、壁ができるし。援助者がつぶれたり独りよがりになることも避けられる。孤独な援助者に支えられることはいつ綱がちぎれてもおかしくない吊り橋を渡らされるようなもの、という言葉が印象的だった。自傷に限らず、対象と距離を置きたい場合に、関わりを維持しつつも他者を入れるのは効果的だなーと思った。接客でもそうだし、普通の人間関係でも。

 

余談だけどさらっとした動物表紙のシリーズなのでオライリーみたいだなと思いました。

https://www.godo-shuppan.co.jp/book/b474522.html