犬山の読書録

犬山です。心動かされたものについて記録します。

【感想】海獣学者、クジラを解剖する

www.yamakei.co.jp

 

国立博物館で海の哺乳類の研究や標本管理などをされている方の本。元々は獣医さんで、海岸に打ち上げられた=ストランディングしたイルカや哺乳類を調査に行って、解剖等で死因を調べる話なんかも出てきた。

 

読書メーターだと「プラスチックの危険性がどうたら」という話がちょくちょく書いてあったけど、本書ではそこまでウェイト高く取り上げられてはいない。「死んでいた個体を解剖したら消化器からプラスチックが出てきたが、直接の死因とは断定できない、様々な側面から検討する必要がある(以降で感染症や外傷他についての詳細な話)」みたいなのとか、終盤で「危険性はあるし世界的に関心が集まるようになってる」みたいな話とか。個人的には、後者のくだりは入れてくれと言われたから入れたのかなーと邪推してる。そこを強くアピールしたいなら、もっとそこまでの事例にプラスチックの害を入れてると思うし。

 

クジラを解剖するときには皮を引っ張ってないと切り開けないから引っ張り続けないといけなくて、人力だと厳しいからショベルカー使う話とかすごかった。確かに、そういうニュースやドキュメンタリーではショベルカー停まってる。また、ストランディングが報告された時の緊急出動とか、自治体に処分されないように頼むアレコレだとかディティールが詰まってた。漫画で超常要素のある生物の処理・収集業とかの話を書くなら絶対に参考になると思う。

ストランディングは年間300例くらい報告あるとこの本にもあったように、クジラが打ち上げられたニュースは定期的に見るけれど、そういうのを見る時の解像度が上がりそう。